![観用少女 プランツ・ドール 1~最新巻(眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) [マーケットプレイス コミックセット]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/91txQixfOxL._AC_UL165_SR165,165_.jpg)
「20世紀最後の少女漫画」です。
ってなんか、どこぞの帯文のようなことを云っている（笑）。
「最後の少女漫画」であると同時に、20世紀の「少女漫画」を
典型的な絵柄で、しかも愛を込めてパロディ化したような
記念碑的作品。「観用少女」ってタイトルが凄いですよね…。
2018年現在、この頁をご覧になるのはその殆どが、
既にして川原由美子氏の読者の方々だと思うので、
いまさら付け加えることは何もありません。
「明珠」のタイトルの美しさに惹かれて購入、
「夜香」も読むことが出来て良かったです。
エピソードとしては「蜜月」「流砂」「スノウホワイト」
（以上「明珠」所収、「スノウホワイト」は２部構成の
後半が前半の種明かしになる凝った作り）「RAINY MOON」
「ブルードール」「ミッシング・ドール」（以上「夜香」所収）
が特に好きでした。
ただ、この作品をリアルタイムで享受した読者諸氏、
自らの幸運を知るべし。漫画作家の名前を覚えるのって、
子供の頃、どの少年・少女漫画誌を読んでいたかで
決まってしまうところありませんか？
残念ながら、私は小学館派ではなかった…。
全く川原氏の作品を読んだことがない、というのは
さすがにないと思うのですが、比較的近作の「ななめの音楽」
から入ってしまったので、すご〜く勿体ない読書経験…。
「観用少女」→「ななめの音楽」で昏倒したかったです。
本作に「少女漫画」のパロディという印象を受けたのは、
各編ごとに、SFジャンルの所謂「冷たい方程式」に似た、
ひんやりとした「核」のようなものが感じられるから。
「たったひとつの冴えたやり方」（1986年発表、
ジェイムズ・ティプトリー Jr. 邦訳書籍としては
1987年 早川書房、朝倉久志訳）の旧装丁の印象的な
イラストが川原氏によることからの、連想も多少あり。
「冷たい方程式」はSFの古典的ギミックですが、日本語の
慣用表現で近いのは「二兎を追う者は一兎をも得ず」かな？
ちょっと違うか…。本シリーズの一作目「食卓のミルク」
かなりシニカルで、第一印象が「冷たい方程式」でした。
口語的表現だと「うあ、きっつ〜」が近いです（笑）。
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